旬の特集
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文書作成日:2024/01/25

2024年4月以降に施行される障害者雇用に関する実務対応

障害者もともに働くことができる環境の整備が求められており、2024年4月以降、2年連続での法改正等が施行されます。そこで今回は実務に影響が大きな主要改正点について解説します。

[ 1 ]
法定雇用率の引き上げ【2024年4月・2026年7月施行】

 民間企業における現行の法定雇用率は2.3%ですが、2024年4月に2.5%、2026年7月には2.7%と段階的に引き上げられます。法定雇用率が2.5%に引き上げられると、1人以上の障害者を雇用すべき企業の範囲は、現行の常時雇用する労働者数43.5人以上から40.0人以上に広がります。
 この常時雇用する労働者とは、原則として、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であって、1年を超えて雇用される人(見込みを含む)です。計算方法は、週所定労働時間が30時間以上の労働者については1人としてカウントし、20時間以上30時間未満の労働者については1人を0.5人としてカウントします。

[ 2 ]
実雇用率の算定の特例【2024年4月施行】

 障害者の実雇用率の算定では、週所定労働時間が20時間以上の労働者をカウントの対象としていますが、2024年4月より、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者についても0.5人としてカウントされるようになります。これに伴い、障害者雇用率制度における算定方法は下表のようになります。※表はクリックで拡大されます。

 このように改正された背景には、障害特性で長時間の勤務が難しいこと等により、週所定労働時間20時間未満で雇用されることを希望する人がいずれの障害種別でも一定数存在し、特に精神障害者で多いという実状があります。このようなニーズを踏まえ、週所定労働時間が20時間未満であれば働くことができる人の雇用機会の拡大を図っていく狙いがあります。

[ 3 ]
障害者雇用納付金制度【2024年4月施行】

 常時雇用する労働者の数が101人以上の事業主を対象として、法定雇用率が未達成の事業主から納付金(不足人数1人当たり月額50,000円)を徴収する障害者雇用納付金制度があります。
 一方で、常時雇用する労働者の数が101人以上の事業主で、法定雇用率を達成しているときには超過1人当たり月額27,000円の障害者雇用調整金が支給されます。この障害者雇用調整金の見直しが行われ、2024年4月からは、支給対象人数が年間120人(単純換算で1ヶ月10人)までは月額29,000円、年間120人を超える場合は120人を超える人数分への支給額が月額23,000円となります。常時雇用する労働者の数が100人以下の事業主については、法定雇用率を達成している場合には障害者雇用報奨金が支給されていますが、こちらも支給額が変更となります。
 その他、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の障害者を対象とした特例給付金がありましたが、上記[2]のとおり、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者について0.5人としてカウントできるようになることから、こちらは廃止されます。なお、2024年3月31日までに雇い入れられた週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の重度以外の身体障害者および知的障害者については、1年間の経過措置が設けられます。

[ 4 ]
除外率の引下げ【2025年4月施行】

 障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種(建設業、貨物運送業、医療業等)について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除(障害者の雇用義務を軽減)する制度があります。この除外率は、2004年4月以降、廃止に向けて段階的に引下げ・縮小が行われており、2025年4月からはそれぞれの業種で10%引き下げられます。この引下げにより、除外率が5〜10%となっている非鉄金属製造業(非鉄金属第一次製錬精製業を除く)、倉庫業、航空運輸業、窯業原料用鉱物鉱業(耐火物・陶磁器・ガラス・セメント原料用に限る。)等の計9業種については除外率の適用対象外となります。その一方で、警備業、介護老人保健施設、介護医療院の3業種が新たに加わります。


 上記の内容を踏まえ、自社においてどのような影響があり、そして対応が必要になるのか確認し、対応を進めましょう。

■参考リンク
厚生労働省「障害者雇用対策
厚生労働省「令和4年障害者雇用促進法の改正等について
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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